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ツブヤキ(2016/6/5):
 パソコン・ディスプレイについて以前書いたトピックに、少し追記した。家電店の売り場では見かけないものの、ここに書いたようなタイプの製品を、今も様々なメーカーが作っているようだ。縦にゆとりあるスクリーンは、実際に作業するとやはり快適であるためだろう。

 画面スクロールの細かなくり返しは、たえずゆれる乗り物で本を読む感じにも似て、目をじわじわ疲れさす。

 ノートパソコンがタブレットに人気を奪われた理由というと、キーボードが邪魔という点ばかりが語られるが、モニター使いの快適さの差(片や、ほそい画面の横置きだけが強いられる)も大きな要因ではなかろうか。
 スマホで、画面横置きだけが強いられたらたまったものではないが、状況はそれに近いのだ。


ツブヤキ(2016/5/19):
 舛添・東京都知事が、「ごちそうする」と言って、都の男性職員を地元のマクドナルドへ誘った。
 知事は店に着いたとき、自宅にマックのクーポン券があることをふと思い出し、彼に取ってくるよう頼んだ。
 戻ってくるまで、知事はSPと二人きりでマックの前でずっと待っていた。

 週刊文春が報じたこの話がずいぶん話題になっている。

 これほどせこい話はない、という語られようなのだが、仮に知事が常々、職員に細かすぎるまでに倹約を求めているといった背景があったなら、せこいはせこいにしても、「都知事なのに感覚が完全に庶民レベルだ」と、同じ話が美談や親しみやすさへ着地していたかもしれない。

 昭和の世に、大きな行革を成し遂げた「メザシの土光さん」という人がいたが、「偉くなってもお酒はトリス」(サントリー)みたいな話を私たちは好む。

 けれどもこのマックの話は、知事がむかし、税金が原資の政治資金で美術関連品をいろいろ買っていたとか、公用車で湯河原温泉にたびたび通っていたという報道と一緒だったため、悪いフリコの端と端がそろったようになって、すごく黒光りする話になってしまった。  

 旅客機ファーストクラスに搭乗する地位の人が、部下に「ごちそうする」店と報道されたことで、マックはちょっと嬉しかったかもしれない。この機会に乗じ、「マックのファーストフードは、ファーストクラスフードです」いうコピーを全国の店に貼ってはどうか。  

 それにしても最近の、週刊文春の記事の社会影響はすさまじい。上の件のみならず、政府の重鎮閣僚を辞任に追い込んだり、評判の良かった国会議員を辞職に追い込んだり、芸能界やスポーツ界のスターたちも次々に……。

 報道機関を「第四の権力」と呼ぶことがあるが、新聞・テレビが政権とわりあい融和的になってきているなか、「立法」(国会議員)や「行政」(閣僚・知事)を激しくゆさぶり、覚醒剤がらみの報道などで「司法」の場にも影響を与え、「第四の権力」という呼称に合った存在は、いま週刊文春であるかもしれない。


ツブヤキ(2016/4/5):
 時をへて、何だか腑に落ちた話をひとつ。

 東京都が、かの石原慎太郎知事だったころ、公立の図書館に対して改革の大ナタが振るわれた。
 あちこちの図書館に同じ本を置くのをやめさせるとか、司書の採用を激減させるとか、伝統ある都立日比谷図書館を廃館にするとか。
 次の猪瀬知事(この人も作家だ)のときも、こうした姿勢は継続された。

 その主目的は、むろん都財政の赤字減らしであったろう。ただ、「本」文化を最も重んじそうな作家出身知事が、図書館の大幅予算カットを断行したことに、「なぜ?」という印象もあった。

 長い時をへて――。

 このまえ、石原氏と同じ芥川賞作家の羽田圭介を、とあるテレビ番組で見かけた。それは、彼が母校(明治大学)の図書館を訪れている場面だったのだが、自分の本が、「本校の卒業生の本です!」というふうに目立つ平置きでそこに置かれているのを見て、彼は喜ぶのでなく嫌な顔をした。

 その理由は、「図書館で、借りて読まれちゃったら……」というものであった。
 なるほど、大ベストセラー作家ならともかく、純文学系の人にあっては、これは当然の感覚であろう。

 そのとき、「ああ……作家なのに、でなく、むしろ、作家だから、だったのかも」と、昔のできごとが、急に腑に落ちた気がした。

 もし公営の無料CDレンタル館なるものがあったら、CDの作り手たちは、「品ぞろえをすごく悪くしろ」「そんな施設の職員に、税金を使うな」「いっそ廃館しろ」と思うにちがいないが、図書館というものに対する石原・猪瀬知事の感情も、あるいはそれに似たものだったのかもしれない。

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