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求む、シティ・ディスプレイ
(2014/1)

 パソコン売場を見ていると思うのだが、パソコン・ディスプレイは、なぜああもワイド型「のみ」になってしまったのだろうか?

 テレビ売場で、あのタテヨコ比9対16(すなわち1対1.777)というワイドな画面を見ても、むろんそんな思いはわかないのである。
 送信されてくる絵がみな9対16の形状なのだから、それと異なる比率のディスプレイがあったらむしろびっくりする。
 しかし、パソコンの画面のほうに映されるものは、主に何だろうか――。

 パソコンの主用途が、映画やテレビ放送を見ることだという人は少ないと思う。
 家でそれらを見るなら、画面が大きいテレビのほうがより楽しめる。テレビそのものがネットにつながり出し、YouTubeなども見られるようになってきている。
 家の外で、ヒマな時間にちょいと動画を見るなら、ノートパソコンよりは、軽いタブレット端末やスマホのほうが重宝だ。

 パソコンのディスプレイに、いちばん映されるものは何だろうか?

 それはワード、エクセル等の文書であったり、メールであったり、ネットのサイトであったりである。
 パソコンを使って絵や図面を描く人もますます増えている。あるいは、産業におけるパソコンの使用……。

 私は、こうした使い方をいずれも体験したことがあるけれど、細長い画面が適しているものは一つもないと思う。

 たまたま今、縦横比が1対1.25という、正方形に近い画面(SXGA)と、テレビと同じ1対:1.777の画面をつかう機会があるのではっきりわかるのだが、正方形に近い画面のほうが圧倒的に作業がしやすい。

 たとえばワードでつくる文書は、A4縦というものが大半である。表など、縦に見わたして作業したい要素が、そこにはしばしば含まれる。

 大型ディスプレイならもともと余裕があるからいいが、これをノートパソコンの、小さい上に横に細長い画面でひんぱんにスクロールして扱うのはしんどい。

 こうした機種だけ使っていると、まあこんなものだと慣れてしまうけれども、実際は縦に少し余裕があるだけで大きく能率が変わる。

 独立したディスプレイの場合も、置けるスペースとの関係で、小さめのものを使っている人は多い。幅が制約される場合、あの「ワイド」比率のもとでは、縦は輪をかけて短くなってしまう。

 パソコン・ディスプレイは、実質的にはワイド化したのではなく、(不便にも)縦に縮んだのだ。幅のマックスというのは、たいてい置場によって決まるからである。

 タブレット端末という、画面を縦に見ても横に見てもいいツールができて、気づいたことがある。
 それは、ネット上のサイトであれメールであれ、その実体は縦長の巻物であり、しばしば横長より縦長にしてながめたくなるということだ。

 文章の全体量がぱっとわかるとか、表がフルに見わたせるとか、マンガの1ページが最大サイズで入るとか……画面を縦にしたくなる場面は多い。

 その使用感から逆に考えるなら、小さめのパソコン・ディスプレイはできるだけ縦に余裕を持たせるべきだと思う。こちらは用途に応じて画面を回すことなどできないのだから。

 上に書いたのは、主にWindowsパソコンの話である。いま売場に並んでいるパソコンがワイド画面一辺倒なのは、むろんOSであるWindowsの指向にもよっているだろう。
 しかし、最新のWindowsでも、1対1.25とか、1対1.333といった昔なつかしい比率のディスプレイは問題なく使える。

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