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無傷であるローラ

 ふつうなら周囲が許容しないことが、さして抵抗を生むことなく、許容されている。

 「異」という要因とともに、本人の「憎めないキャラ」も、そこでちょっと影響しているだろう。
 米国におけるそうした光景を見て、私の頭に浮かんだ言葉があった。
 それは、

 「大谷翔平の、メジャーへ行っての二刀流は、徹子の部屋における、ローラのタメ口」

というものであった。

 むかし、タレントのローラが「徹子の部屋」に出演したとき、徹子さんに対し、かなりのタメ口比率でしゃべり通したことが世の話題になっていた。

黒柳 「出演料、おもらいになるでしょ?」
ローラ 「秘密だよ!」

みたいな感じ。

 大先輩・黒柳徹子に対しては、いくらローラであれ、敬語でずっと話すべきと非難する人もあったが、多くの人は、「いいんじゃないの。徹子さん気にしてなかったみたいだし」というふう。

 むしろ、ローラなのに、ときどき「ですます」が入った事実に、強く心を動かされている人もあった。さすが、徹子さんだと。

 皆のこの特例的な受容には、彼女の外観がほぼ「西洋の人」だということが、やはり大きく効いていよう。
 といっても、これはいわゆる西洋人コンプレックスみたいなものとは違い、たとえば黒人の女の子がローラ的愛嬌キャラで日本で人気を得たとしても、私たちは同じ受容をする気がする。

 その一方、100%日本人の若い女子タレントが、徹子さんに対して平然と「秘密だよ!」的しゃべりをしたら、たとえ話されるほうはOKでも、ほとんどの視聴者は不快感をいだくだろう。

 これは日本語能力の高低とは、必ずしも関係がない。
 ローラの日本語は、アクセントは少し特殊であるが、「初学者なのでとても敬語なんて」というタドタドしさではないのだ。

 理屈以前に、もう単純な「絵」レベルで、同じムラ外観の若者が大先輩にタメ口で話すさまは、許せん感をパッと生じさすように思われる。
 ついでにいえば、それはとりわけ、同性同士の場合でしょうね。男女・タスキがけになっていると、上側はそれを好むことがしばしばある。

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