Ａ 男の肉体美を見たいっていう需要、女性視聴者にもあると思うんだ。（一部の男性視聴者にもあるだろうし）
子供たちだって、学校へ行って「ああだった、こうだった」ってすぐ共通の話題にしたくなるのは、朝ドラよりは、朝ファイトのほうだろ？
Ｂ そりゃまあ、そうでしょうけど――。
でも、こういう異常な――（ゴホン）――までに革新的な企画に、スポンサーがつきますかね？
Ａ 今の企業の、上のほうは、子供のころゴールデンタイムにプロレス放送が幾つもあって、胸を熱くしてた世代なんだよ。カラテ系が大人気だった頃もあったじゃないか。
プレゼン次第では、あっちからこの企画に噛みつき攻撃してきちゃうよ。青春の思い出がよみがえって。
Ｂ うーん。まあ、現在のひどい数字が出発点だから、可能性はあるかもしれませんねぇ。
じゃあ、内容をもう少し具体的に詰めてみますか。
Ａ よっしゃあ、朝のテレビ番組に――いや、日本に、オレたちが革命を起こしてやるぞう。
（たまたま局の上層部に、格闘技好きと、あまりの低視聴率にヤケクソになっている人が大勢いて、企画が通ってしまう）
Ａ 初回の放送だけどさ、できたらヒタイあたりから、少し流血する場面なんかあるといいなぁ。朝ドラじゃ目にできない、インパクトがほしいから――。あんまり激しいのはいかんけど。
Ｂ わかりました、適度に出してもらうよう、お願いしときます。
Ａ 番組が発展していくにつれて、歯をヤスリで磨いて威嚇する空手家とか、斬新なスターが生まれてくるといいなあ。
（朝ドラにぶつけた初回が放送される。視聴率が出る）
Ａ どうだった、数字は？ 朝ドラと、いいとこ行ったか？ （ドキドキ）
Ｂ （ヒタイをぺしゃりとたたく） 15分完全フォール負けでしたあ！ ほとんど失神状態です。朝ドラ、すごく格闘強いですぅ。
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