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昔からプレミアムだったのに
(2015/3/20)

 「プレモルって高級なイメージがあるから、昔はなかなか手が出せないって思ってたんですけど、一度飲んだらメチャクチャおいしくて」――メジャーリーガーの上原浩治が、プレミアム・モルツの雑誌広告でそう書いているのを見て、思わずのけぞってしまった(例えでなく、実際に、20°くらい)。

 上原浩治が、松坂大輔とならぶビッグ・ルーキーとしてジャイアンツにドラフト1位指名され、いきなり大暴れ(投手三冠王、20勝4敗)した年を、私はよく覚えている。

 ノストラダムスなる古人が、「空から恐怖の大王が降りてくる」と予言し、人類がそこで滅亡すると心配されていた、1999年のことだ(念のため書き添えれば、大王は降りてこなかった。予言どおり7月に世界が終っていたら上原の20勝はなかった)。

 一方、プレモルはそんなに昔からある商品じゃないはずと思って調べたら、やっぱり、2000年以後の発売である。

 「プレモルって高級なイメージがあるから、昔はなかなか手が出せないって思ってた」、その「昔」って、ジャイアンツの大エースだったころですがな!(皆がそのころ、手を出せずに困っていたのは、上原の球のほうだ)
 たしかにプレモルはほかのビールより高いのだが、数十円高いくらいだぞ……。

 これがプレモルでなく、ドンペリの雑誌広告であればまだわかるけれども(そんなものは、そもそも無いだろうが)。
 彼がメジャーを代表するクローザーにまでなった今、毎日、ドンペリを沸かした風呂に入っていたとしても、上の言葉ほど驚きではない。

 しかし、かつて実際にそう感じたから、上原は上のように言ったのだろう。
 この人は「雑草魂」という言葉にもうかがえるように、インタビューを聞いていても、たしかに何かと庶民的なところがある。のけぞりながらも、親しみをおぼえた次第である。

 漫才の本場生まれのこの投手に、「昔って、あんた!」というツッコミを、ネット経由で海をこえて送りたい。

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