家族の祈念
アナウンサー このオリンピック、すべての試合で、開始2分以内一本勝ちという圧倒的な強さで頂点に立った、津世杉選手にカメラの前に来ていただきました。おめでとうございます。
津世杉 ありがとうございます。
アナ それにしても強かったですねえ。
津世杉 もちろん私だけの力じゃありません。
監督、会社の同僚たち、応援してくださった皆さん、そして何より、家族みんなのサポートのおかげで勝てたんだと思います。
アナ そうでしょうねえ。ご家族は、具体的にどんなサポートをしてくださったのですか?
津世杉 なんといっても大きかったのは――今回、私の試合って、日本だとほとんど夜中の3時、4時だったじゃないですか?
アナ 時差で、そんな感じでしたね。
津世杉 でも、私が試合する時間に、家族の全員が起きて、相手選手の名を書いたワラ人形に、五寸釘を打ってくれたんです。
アナ そ、そうだったんですか。(恐いよあんた)
津世杉 相手と組んでいる時も、寝技に持ちこんだ時も、向こうが少しずつ弱って行くのが、はっきりわかりました。ああ、今このあたりに打ち込んでるのかなって。
アナ それは――たいそう強力なサポートで……。
ええと、それじゃ、これでインタビューを終わります。(これ以上聞いて、放送できないような話が出てきたらヤバいよ)
津世杉 インタビュー、ちょっと短すぎないですかあ? まだ、いっぱい話があるんですけど。
アナ す、すいません、放送時間がいきなり押しまして――ひいっ、にらまないで。
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